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である事を示す。これらについても初期の目標を十分に達成している。
旋回流での対策も実は第一列のみで第二列はこれを越える温度差が生じている。
今後実用化に向けては改善の検討が必要である。
更に、この第一列は熱浮力の影響が薄らいだ代わりに噴出位置の影響が現れているのが、図3.2-26より明白である。図3.2-27に示す軸方向の温度分布にも中央付近が高くなっている。これも吹き出しの影響である。これらの改善は噴出孔径が許す限り孔数を増加させる事で解決できると考えている。
図3.2-28は旋回流燃焼室(36噴孔十酸化剤1・2次分離供給)と旋回流燃焼室(36噴孔十酸化剤スウラー供給)がヒータ吸熱量比として到達した領域を示す。酸化剤の分離供給方式が80%であるのに対し、最終仕様であるスワラー方式では85%に達している。この吸熱量比がトータル熱浮力対策の評価となる目標の領域に達している事が判る。
以上の事から旋回流燃焼室は本研究の課題であった熱浮力に対し初期の目標値をクリア出来る燃焼室を完成させることに成功した。なお、本研究の燃焼室最良仕様は旋回流燃焼室(36噴孔十酸化剤スワラー供給)であった。
(3)着火性確認試験
実船システムでは種々の予期せぬ理由で高圧燃焼が停止される場合がある。その一例がエンジンサイドの異常であったりヒータの異常等が生じる燃料カットになるため、どんな深海でも燃焼が停止する。この場合は直ちに再着火する必要がある。
ここではシステムの圧力として予測され季5〜7MPaにおいて一発で着火させる条件は次の通りである。
燃料量:3.5kg/h
炭酸ガス流量:66.4kg/h
酸素流量:17.9kg/h
この値はこれまでの試験から経験的に掴んだ数値である。この数値を設定すると燃料投入2〜3秒で着火にいたる事を確認している。その具体的な着火時の状況を図3.2-29〜図3.2-31に示す。着火するシステム圧力と燃焼器のメタル温度が上昇していく。
ここで示していない低い圧力(0〜4MPa)でも上記条件を与えれば確実に着火する事も既に確認済みである。以上により冷態時からの起動や何等かの原因による断定からの再着火に対しても着火は十分制御できる技術を確立した。
また、低温の模擬ヒータを使用して、システム圧力を5〜7MPa変化させ定格燃料量投入試験を実施した。この時の各圧力でボイラー効率ηBと吸熱量比ηQ等がどの程度変化するかを示したのが図3.2-32である。同図より、この程度の圧力ではボイラー効率ηBは変化しないが、吸熱量比ηQは3.5%程度変化する事がわかる。この事から圧力による出力変化としては、吸熱量比ηQの熱効率への影響分変化すると考えれば予測出来る事が判った。これについては、全体システムの出力試験の評価に使用する。

 

 

 

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